みちのくは百合の朱さと草の青
百合の朱野躑躅の朱高さかな
雨の牡丹花瓣からも滴かな
あるがなかの白き牡丹や雨の中
牡丹に夜はなほ寄る炉ありけり
壁のばらにあたりしすぽんぢぼうるかな
籠のばらを蔽ふりぼんもばらの色
薔薇の月つとまぼろしにEndymion
牡丹の畑の畝間を行かうとす
高ひくの蕗の葉に来しあさ日かな
枝垂桜地につくまでの若葉かな
梨花一房まぎれもやらず初若葉
青天にみんな穂をあげ初若葉
ほのぼのと降る雨にこそ初若葉
雨の日を炭つぎたてぬ初若葉
ぬぎためし曠着の裏や初若葉
花ぬらしし雨のそのまま初若葉
大いなる落花地にあり初若葉
あけくれをこもらひ居れば初若葉
桐若葉出る葉出る葉の全けれ
廊を拭くおから袋や時鳥
新緑にひと日なつかし那須の雨
新緑を追ふ旅をしてもどりけり
新緑の梅雨にはいまだ日あるべし
呼びたてぬ庭の新緑これを見よと