葉のふちのあかるくおほやまれんげかな
若竹の午下しじみ蝶せせり蝶
花も刺毛も実も色おなじ茄子の夏
老鶯のしきりに近くなきにけり
老鶯や若葉青葉の曇れる日
尺八とれば老鶯窓にたてあはせ
ふたたびや一つ実りし未開紅
雲赤く雷光みだれ梅雨おこし
あかねして雲雷す梅雨おこし
入梅のくもり日日々にぬくとまり
梅雨に入る雲に日にじむひとところ
いくたびもくもりつはれつ梅雨入あさ
いとひくくまあかの月や梅雨ひと夜
上下左右にたばしる雷火梅雨おこし
白天のさなか真日照り真日見えず
きんいろの月の大空につと蛍
炙り鮎のかまでにまるく今年かな
炙り鮎金色のいろにまるまると
あぶら光り焼けて太しき鮎二つ
世田谷は桜若葉に行々子
武蔵野の真夏の草を見にも来よ
夏の夜の群星にわれひとり泣く
うつし世に妻はきよけし夏の月
金色のあかき日の出の若葉ごし
夏靄の夕やけの彩だんだらに