大南風の大空に燕ひるがへり
大南風に星はもうごき夜もすがら
南風の夜の地震おぞましく星もまた
大南風の夜の枝に大き星二つ
半月に星ひとつ南風つのるらし
大南風の二日につづきなほやまず
夏蝶や紫陽花よりも白茨に
夏をかし白蝶とんで日いまだ
まことちさき花の草にも夏の蝶
青芝に草のあるらし蝶したふ
おしかくす雲の月より雷光す
碧瑠璃の空の深さも午下の夏
北と東に雲美しう夏入日
すこしづつ北へよりつつ夏入日
夜明くるもなほ金亀子高き灯に
白雲にかかる光りを夏の空
わぎもこのほ句見て笑まし夏の雲
昼も夜も真空に白し夏の雲
空の色うるめど深し夏の雲
見るうちにまぶしくひかり雲の夏
朝日涼いけがきの影みな草へ
南の空に静すずし月と星
群星にうもれしわれの一人涼し
人麿山すずしひぐらし山もまた
一念にしづけさまされ夜半の夏