ほうたるこいほうたるこいふるさとにきた 山頭火
暗さ匂へば蛍 山頭火
湧く蛍こぼるる蛍こもり沼に 石鼎
這ふ蛍つまめば翅のなよなよと 石鼎
天に光り虚空に光り夕蛍 石鼎
庭草に蛍ともりぬ雨のあと 青邨
一心にともして飛べる蛍かな 淡路女
重なりて蛍の水を覗きけり かな女
絹練つて蛍の中を舁き来る かな女
たれかこいこい蛍がとびます 山頭火
けふもいちにち誰も来なかつた蛍 山頭火
とんできたかよ蛍いつぴき 山頭火
蛍もいつぴき 山頭火
このままでかへるほかない草蛍 山頭火
なんといつてもわたしはあなたが好きな蛍 山頭火
茂吉
草むらに蛍のしづむ宵やみを時のま吾は歩みとどめつ
夕焼の橋に遊んで蛍待つ 花蓑
うつくしく泉毒なる蛍かな 蛇笏
ほたる火に憂色ありてうごきけり 蛇笏
ならびたつ柳をつたふ蛍かな 石鼎
まつくらな橋をくゞりし蛍かな 青邨
夜清水を汲む傘に飛ぶ蛍かな 月二郎
とぶ蛍草にとまりて消えにけり 淡路女
薄羽織袂に放つほたるかな 淡路女
光濃く蛍火水をはなれけり 淡路女