筍あんなに伸びて朝月のある空へ
いつもなる風鈴で夏らしう鳴り
晴れて朝から雀らのおしやべりも
糸瓜の蔓がここまで筍があつた
空梅雨のゆふ風や筍はしづくして
こころあらためて七月朔日の朝露を踏む
家いつぱいに昇る日をまともに郵便を待つ
たづねてくれるみちの草だけは刈つておく
郵便やさんがきてゆけばまた虫がなく
すこし風が出て畳へちつてくるのは萱の穂
ひとりひつびり竹の子竹になる
うれしいこともかなしいことも草しげる
生きたくもない雑草すずしくそよぐや
あをあをと竹の子の皮ぬいでひかる
竹の子竹となつた皮ぬいだ
竹の子伸びるよとんぼがとまる
坐層すずしく人声ちかづく
すくすくと筍のひたすら伸びる
暮れるとひやつこい風がうら藪から
けさは鶯がきてこうろぎも鳴く
炎天、かぜふく
おもくて暑くてねぎられてまけるのか