和歌と俳句

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高野山谷のほたるもひじり哉 季吟

牛部屋に昼見る草の蛍哉 言水

愚にくらく棘をつかむ蛍哉 芭蕉

此ほたる田ごとの月にくらべみん 芭蕉

めに残るよしのをせたの蛍哉 芭蕉

艸の葉を落るより飛蛍哉 芭蕉

己が火を木々の蛍や花の宿 芭蕉

戦けりほたる瀬田より参合 素堂

藪垣や卒塔婆のあひを飛ほたる 鬼貫

すつと来て袖に入たる蛍哉 杉風

蚊遣火の烟にそるるほたるかな 許六

窓に寝て雲をたのしむ蛍哉 支考

梨壺の五匁膳や飛ぶ蛍 支考

さびしさや一尺くへてゆく蛍 北枝

がまの穂にとぼしつけたる蛍哉 千代女

つまづいて消つまづいて飛蛍 千代女

ひるは手に子供もとらぬ蛍かな 千代女

ほたる火や山路の往来おぼつかな 千代女