火がついて修二会松明たちまち惨
火の修二会闇に女人を結界して
修二会の闇われ方尺の女座を得て
桟窓格子透きてへだてて修二会女座
火を滴々修二会松明炎えほろぶ
刻みじかし走りて駆けて修二会僧
修二会走る走る女人をおきざりに
飴ふくむつばとくとくと修二会の闇
一睡さめ身が覚めきつて修二会女座
水散華火散華修二会僧たのしや
西天に赫きオリオン修二会後夜
椿華鬘重し花蕊をつらぬきて
落椿くもる地上の今日の紅
二タ雲雀鳴きあふ低き天もたのし
散りづめの桜盲眼もつて生く
嘴こぼる雀の愛語伽藍消え
生きてゆく時の切れ目よ藤垂りて
静臥の上巣つくり雀しやべりづめ
おとろへて生あざやかや桜八重
蝶蜂の薊静臥の主花として
降る雨が浸まず流れて二月の地
昆虫の肢節焼野の灰ぼこり