枯蔓をかぶらぬはなし山椿
梅に在り紅梅に在る文目かな
流れつつ色を変へけり石鹸玉
京言葉大阪言葉濃白酒
連翹の枝多からず交へたる
漣の下に連翹映りをり
ものの芽のほぐれほぐるる朝寝かな
毎日の朝寝とがむる人もなし
ものの芽に踏まへひろげし両の足
ゆたかなる苗代水の門辺かな
山吹の日蔭へ蝶の這入りけり
梨棚の跳ねたる枝も花盛り
打ち離れ枯菊の辺に残る雪
山椿撰び折り来て実朝忌
雪解水ささらぎにけり落椿
沈丁の香の強ければ雨やらん
芥子の芽や夕一時明らかに
釣竿のぴかりぴかりと水草生ふ
左右には芹の流れや化粧坂
せせらぎつ揺れつつ芹の生ひにけり
海苔舟を松の木の間に海晏寺
かずかずの物芽の貴賎おのづから
西行忌我に出家の意なし
屋根替の萱吊り上ぐる大伽藍