和歌と俳句

万葉集

巻第一

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   麻続王流於伊勢国伊良虞嶋之時人哀傷作歌
打麻乎麻続王白水郎有哉射等籠荷四間乃珠藻苅麻須

麻続王、伊勢国の伊良虞の島に流さゆる時に、人の哀傷しびて作る歌
  打ち麻を麻続の王海人なれや伊良虞の島の玉藻刈ります

   麻続王聞之感傷和歌
空蝉之命乎惜美浪尓所湿伊良虞能嶋之玉藻苅食

麻続王、これを聞きて感傷しびて和ふる歌
  うつせみの命を惜しみ波に濡れ伊良虞の島の玉藻刈り食む

右案日本紀曰 天皇四年乙亥夏四月戊戌朔乙卯
三位麻續王罪流于因幡 一子流伊豆嶋 一子流血鹿嶋也
是云配于伊勢國伊良虞嶋者 若擬後人緑歌辞而誤記乎