相模
きのふけふ歎くばかりの心地せば明日に我が身や逢はじとすらん
和泉式部
見し人に忘れられてふる袖ににこそ身をしる雨はいつもをやまね
よみ人しらず
忘らるる身をしる雨はふらねども袖ばかりこそ乾かざりけれ
藤原能通朝臣
こえにける浪をばしらで末の松ちよまでとのみ頼みけるかな
藤原實方朝臣
浦風になびきにけりな里のあまの焚く藻のけぶり心よわさは
藤原實方朝臣
忘れずよまた忘れずよかはらやの下焚くけぶり下むせびつつ
よみ人しらず
風の音の身にしむばかり聞ゆるは我が身に秋や近くなるらん
大貮三位
ありま山ゐなの篠原風ふけばいでそよ人を忘れやはする
赤染衛門
恨むとも今はみえじと思ふこそせめてつらさのあまりなりけれ
和泉式部
今宵さへあらばかくこそ思ほえめ今日暮れぬまの命ともがな
赤染衛門
あすならば忘らるる身になりぬべし今日をすぐさぬ命ともがな
藤原長能
いとふとは知らぬにあらず知りながら心にもあらぬ心なりけり
後冷泉院御製
あふことは七夕つめにかしつれど渡らまほしきかささぎの橋