修二会後夜油も減つてねむたしや
風の落花けふの落花が鎮むなり
日はあれど淡墨櫻宵のごと
淡墨櫻風立てば白湧きいづる
花匂ふ能郷白山の雪の香か
ちるさくら掛行燈に月心寺
永き日の末の夕日を浴び歩く
あまご群れ卯月八日の日に浴す
余花暮れず山中六戸瀬をはさみ
佛生会一村こぞりてんと花
てんと花父祖の杉山青そそり
てんと花ぢぢばばに山河変らぬよ
水草生ふ畦に憩ひて薬売
とんとんと土橋を駈けて甘茶貰ひ
晴れの日のうらうら蓬餅濃しや
永日の傘壽も過去となし給へ
ふたあさを若狭かれひや雪もまた
日の落つる海へ伸びゐて春の畦
昼碧き潮濃き朧もたらしぬ
念々にさくらしだれて地も熱す
散る花を傘にやすらへやすらへや
花散るよやすらひの傘まだ来ぬに
春山を出でくる川に堰いくつ
両端の青む土橋よ揚雲雀
寺院より蝶飛んで奈良中院町