夕空に雲茜して梅黯し
手紙書く墨をすりけり梅盛り
日に月に風雨のあとの梅は白し
大暴風雨のあとにも浮きて梅の花
雨音も風音も止み梅浄し
一点の雲なき空や梅は散る
碧空や散り居る梅の花に風
碧空や梅の落英見えて居る
松高く幹に夕日や梅闌けて
梅の花雪降る如く吹かれ散り
夕空のあけぼの色に梅の花
石蕗の葉のどの葉にも梅の落花かな
けふも鶯散りつくしたる梅が枝に
散り尽す梅の中なる星の数
春めくや西日に小鳥ちらちらす
爛淀の梅ばかりなる雛の日
梅が香の霞むほどなる雛まつり
啓蟄や若く盛んなる枝見ゆる
焔して燃ゆる雲あり槙新芽
芽吹きつつ靡ける如き大樹かな
養花天まばゆきまでの夕餉かな
一連の小鳥は飛びぬ養花天
春眠の覚めて闌け居る庵の梅
よき炭火して黄昏れぬ躑躅雨