和歌と俳句

原 石鼎

40 41 42 43 44 45 46 47

雨あとの花白々とかな

花びらを透く朝日あるかな

学び児等橋よりふらす散華かな

青天や孟宗藪の竹の秋

初蝶の一つは高く黄蝶かな

芝原にましろきの三つばかり

いとひくき白蝶ばかり野の原に

くれ遅く雀の騒ぐ軒端かな

巣の雛を育つるらしく啼く雀

巣引雀つばさにとんでまた砂へ

春の星まてば雲間にけはふ星

喜美城の甍ぞ見ゆれ春の星

一花二花紅梅残り嫩葉かな

夕あかねして小雨あり四月尽

窗の玻璃に雨粒かかり四月尽

畑の梅咲き終るまでながめけり

ちらちらと空を梅ちり二月尽

たつみより朝日す庭の白し

梅が香に潮ざゐ鳴りて夜もすがら

留守の庭に咲く浜の小家かな

降るものの雪の中なる薄紅梅

降るものの中に雪見え薄紅梅

紅梅の雪に天猫宝珠釜

はるかにも啼きぬ野にたてば

地神社の石にかそけくも