雨あとの花白々と桜かな
花びらを透く朝日ある桜かな
学び児等橋よりふらす散華かな
青天や孟宗藪の竹の秋
初蝶の一つは高く黄蝶かな
芝原にましろき蝶の三つばかり
いとひくき白蝶ばかり野の原に
くれ遅く雀の騒ぐ軒端かな
巣の雛を育つるらしく啼く雀
巣引雀つばさにとんでまた砂へ
春の星まてば雲間にけはふ星
喜美城の甍ぞ見ゆれ春の星
一花二花紅梅残り嫩葉かな
夕あかねして小雨あり四月尽
窗の玻璃に雨粒かかり四月尽
畑の梅咲き終るまでながめけり
ちらちらと空を梅ちり二月尽
たつみより朝日す庭の梅白し
梅が香に潮ざゐ鳴りて夜もすがら
留守の庭に梅咲く浜の小家かな
降るものの雪の中なる薄紅梅
降るものの中に雪見え薄紅梅
紅梅の雪に天猫宝珠釜
はるかにも鶯啼きぬ野にたてば
地神社の石に鶯かそけくも