鈴虫のひげをふりつつ買はれける
鈴虫の一ぴき十銭高しと妻いふ
鈴虫を聴けり胆汁を瀉きける子
みとりの夜いまは傾ちぬ鳴く鈴虫
鈴虫の孤つとなりて鳴き澄めり
あけぼのを鳴く鈴虫よ子は癒えたり
縷々の虫秋草の陽の濃くうすく
秋風に灯の穂かたむくゆあみかな
梨をむく音のさびしく霧降れり
縷々の虫秋草の陽に濃くうすく