和歌と俳句

百日紅 さるすべり

三伏の門に二本の百日紅 花蓑

さきがけし花こまやかや百日紅 石鼎

雀やがて百日紅の花の中 石鼎

百日紅燃えよ水泳日本に かな女

茂吉
さるすべりのくれなゐの花咲きそめてはや一とせの夏ふかむなり

少女倚る幹かゞやかに百日紅 麦南

真青な葉の花になり百日紅 立子

咲きがけは百日紅も花やさし 立子

百日紅乙女の一身またたく間に 草田男

百日紅ラヂオのほかに声もなし 草田男

百日紅あかるきもとに流人もふ 林火

百日紅父の遺せし母ぞ棲む 草田男

百日紅ごくごく水を呑むばかり 波郷

百日紅出征の花火突と鳴り 不死男

百日紅釈迦の阿難のわれ彳つも 槐太

女来と帯纏き出づる百日紅 波郷

百日紅心つまづき声からび 波郷

さるすべり近づかず道曲りけり 波郷

涛音のある日なき日やさるすべり 波郷

百日紅片手頬にあて妻睡る 楸邨

百日紅水まけば熱き香をあぐる 占魚

行軍に夜ぞ暁けきたる百日紅 遷子

百日を白さるすべり保し得んや 草田男

いつの世も祷りは切や百日紅 汀女

百日紅行きつくまでの紅さかな 知世子

眼けはしく百日紅の下に佇つ 占魚

百日紅ちりては咲くや死にもせず 波郷

百日紅深息しては稿をつぐ 波郷

昼あそぶ黄金蟲をり百日紅 波郷