2009年8月2〜9日 ことば悦覧in京都 記録集    home 

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 森田一弥さん編   8月05日 Am10〜  晴れ 

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 その04
  
佐藤:動物的な才能、左官向きのね
森田:いくら練習しても職人に向いてない奴ってのいるし。僕は超一流にはなれないけど、まあ、そこそこ器用ではあったんで。

佐藤:超一流の左官屋さんていうのは、どうして見極めるんですか。どういうものですか
森田:なんだろうな。
佐藤:壁に色気が出てる、この壁は生きているな〜とかですか 分かるのですか
森田:分かりますよ。まったく塗ってる肌が違う。同じ材料塗っているのに、全くその表情が違うとか。分かるんですよ
佐藤:専門領域のね 憎たらしいこと知っているな〜、おれ分からないな言われてもな〜
森田:分かりますよ。いくらやってもこう成らないとか。
佐藤:そうなんだ。同じこて使ってね。こてに違う仕掛けしてあるんじゃないの
森田:もちろんそういうのもありますよ。もちろん自分のの手入
佐藤:自分の体にあったように道具を直すとか

森田:ちょっとこて持ってきましょうか
佐藤:自分に合わせて道具作るわけね
森田:作るんですよ 森田道具をとりに行く

佐藤:道具箱が来ました、自分あつらいで作った
森田:自分で作るんですけどね
佐藤:ああ一杯ありますね〜 自前の焼き印押してありますね

森田:これの3倍ぐらいありますよ。僕持ってる こて。
佐藤:随分あるな〜
森田:この一丁一丁がまたね〜、1万とか2万とかするですよ

佐藤:ああ微妙に反っているね〜むくりがはいっている
森田:むくっているやつで。お茶室の引きずりこてって言って。表面がザラザラって
佐藤:凄い一杯あるな〜、なんですのそれ ははははは、それは彫刻のようなものを塗るんですか

森田:狭い処、こういうそこの面戸こてっていうんですけど。垂木の間を
佐藤:狭い処を塗るのね
森田:こういう処(室内の小さな壁にくかって)塗る奴、
佐藤:ここに置いてください曲がった面戸こて。このコテが一番変形してて変わってますね。金槌まであるのは何ですかこれは

森田:これはね
髭子
って言ってね壁と柱が、ここに置いてないな〜・。壁と柱がすくじゃないですか。それがすかないように、小さな釘にシュロの繊維を巻きつけたもがあって、それを打って、土に伏せ込んでおくんですよ。
佐藤:ああなるほど、隙間防止ようの 補強材
森田:そいつが ひっぱてくれてて

佐藤:なるほど、微妙な裏技があるわけね。
森田:色々裏技があるんですよ
佐藤:裏技好きだな〜 人間の裏技知るために大陸横断してるし
森田:うはははははは
佐藤:凄いな〜、一個一万円ってさっき言ってらっしゃったでしょう。一丁って数えるんですか。
森田:一丁ですね

佐藤:これはまた見事 ちっちゃいですね
森田:それは角っこ。蔵とかの。角を仕上げるやつ
佐藤:これは左官屋さんが考えて作りだしたって物ですね
森田:そうですね
佐藤:こんなにちっちゃいの。これは特注品ですよね

森田:それは幅に合わせて作ってくれているんですけど
佐藤:変わっているな〜面戸こて。これは日本刀とか作る砂鉄から作った物じゃないんですかこれは。
森田:ああ、そういうの種類も色々あって。これなんかは地金(じがね)って言って、焼が入って無い こてなんですよ。
佐藤:焼入ってないということはどういう事なんですか。
森田:焼が入ってないと、摩擦が大きいので、土との。何ていうかな。焼が入っているコテってのは、摩擦が小さいんですよね
佐藤:滑るのね。ツルツルになるのね

森田:うん。ツルツルに成るんだけど。スキーの板と一緒で凸凹の処もツルツルにしちゃうわけですよ。凸凹なりに。平らにするときは、ある程度地金の摩擦の有るコテで、表面をこういうふうに
佐藤:ぐいとなかば強引に平らにする
森田:平らにするときに、これを使って、仕上げでこれ(ツルツル)を当てる。同じ大きさのコテでも

佐藤:こんな数あるのに、3年でよく教えてくれまたね〜
森田:いやどうだろう
佐藤:これは自分で作った感じ出てますよね。このプラスチックのこて
森田:これはね売ってましたね〜
佐藤:これは何するもんなんですか
森田:これは何だろう、
佐藤:土くっつけたら見えなくなるので意味なさそうだけど、見えないんだから。なんで透明なんでしょうかね
森田:まあプラスチックという素材がい

佐藤:お、息子さんですか
息子:こんにちわ
佐藤:こんいちは、三番目とか
森田:三番目です。
佐藤:3番目って感じだな

森田:次郎です、真ん中が太郎です
佐藤:そうか南極の犬物語かな 生き残るな〜
森田:そうそ

               ( 左 泊まっている友だち 右 次郎くん)

佐藤:凄い道具だな〜。今でも使っているんでしょう。
森田今でもときどき壁塗るときあるんで。

佐藤:ああ次郎君かな
森田:これは違う
佐藤:ああ友達か。友達が来て自分の家のようにして夏休みを過ごしていると。ここから家に帰らないで。近所の子なんですか。
森田:もうちょっと町中ですね。

佐藤:オジサン凄いの持っているでしょう。なんだか分かるこれ。何だと思うこれって。わかんない・コテ。

森田:壁を塗るの、あの白い処。
次郎何これ
佐藤:壁の角をぬるの。やっぱり君はアイスキャンデーの方がいね
森田ふふふふふ

佐藤:写真撮ってあげる、はいチーズ。ああれは逆光だからこうしよう。良いね〜夏休み楽しい?
森田:楽しい?

佐藤:さっき工作やってたけどさ、何作っていたの?
男の子:キリン
佐藤:キリン!木造ね。木でね。一緒に撮ってあげる。3人おいで。並ぶの嫌なの。
森田:そんなことないな。次郎・・から向こうへ行っておいで。

男の子:出来た
森田:出来た
佐藤:ちょっと持ってきて。写真撮ろう。キリン。さすが ここはよその子供がよろこぶ
森田ふふふふ 何か色々道具があるから
佐藤:あれこの人が長男
森田:あこれが太郎です

男の子:次郎 太郎 次郎 太郎
佐藤:森田太郎だから、いいね〜。じゃこで一回切って、左官の道具をこんなに一杯持っていると。でもモウ一寸 聞こう。5年間で全部で集めたんですか。
森田:そうですそすです。うん。
佐藤:弟子で給料もらえてたんですか。弟子でももらえるんですか
森田もらえますね。さすがに今は住み込みでってのは少ないので

佐藤:住み込みだったですか
森田:住み込みではなかったです
佐藤:通いで
森田:地方から来る子なんかは住み込みで

佐藤:京都って大都会だけれども、古い技術が残っているので。地方はゼロになってしまましたよ。
森田:う〜ん。
佐藤:生活できないから
森田:そうですよね。こっちは文化財の仕事があって。それなりの数の職人は必要とされているんで。
佐藤:だいたい何人ぐらいいるんですか。左官屋さんって。

森田:30人ぐらいはいるんじゃないかな。
佐藤:そうですか。篠竹とかどうするんですか縄とか。竹で小舞を
森田あ、竹 僕編めますよ
佐藤:編んでやるんですよね、材料はどこで採るんですか。
森田:売っているですよ
佐藤:今でも在るんだ。そうか福島には篠竹屋さんなんて無いね。野原の篠竹生えているけれどね。

森田:そこれへんはマニアックな業種が生き残っているんですよね。
佐藤:京都のような古い建築が在る都会はいいよね。東京には篠竹屋さんなさそうだね
森田:東京には無いんじゃないかな、京都はそれなりの需要だけど細々と有るから本当に竹の下地の縄屋さんとか、竹屋さんとか
佐藤:ああ縄屋もあるんだ。藁で撚った縄ね。そうなんだ。へ〜輸入してくるわけじゃなくって。日本人が藁を撚って縄をつくっていると
森田:農家のお爺ちゃんとか。

佐藤:家は農家だったから女の人が冬の間になると藁で撚ってましたね。丸い藁のタイヤ型に
森田:ああそうなんだ
佐藤:耳型のようなものから わら入れ 両方から入れて、まあるい
森田;そうそうまあるいやつにして。
佐藤:男の人達は出稼ぎしているから、女の人達は菰(こも)とかね、縄とか撚っていた。見てたな。今でも あんなの有るんだ。

森田:うん。たぶん京都で作っているんじゃなくって。新潟とかに北陸とかで農家の爺ちゃん婆ちゃんがやっていると言ってましたね。さっきの髭子ってやつも内職で作っているオジサンが居て。髭子もってきますね
佐藤:割れ帽子のやつね 小学校前に篠竹採り手伝ったこと思い出すな〜

森田模型とか2階に置いてあるんですよ
佐藤:そうですか。2階が仕事場なんですか
森田:いやこっち仕事場です。

佐藤:
これが髭子か 確かに髭だ。それを打っていくわけね。こつこつ割れ防止にね。

森田:
10pおきぐらいに打って、こいつを土壁に埋めてやることですくのを防ぐわけですね。
佐藤:これ考えた人もそうとう試行錯誤で作り上げたんだろうな〜
森田:そうですよね〜
佐藤:たったこれだけなのにね、錆びてこないようになているでしょう。
森田:ステンレスですね。
佐藤:サビ滲み出てきちゃうものね 髭子のためにサビでかえって汚くなちゃうものね
森田:そうですね

佐藤:では左官屋さんまで来たのでこれをかたづけましょう
森田:はい
佐藤:今は設計やってるんですよね
森田ふふふふふ  そうです

佐藤:その話を今度 次の 二部で 一端1時間で 切ります

  (2009年10月11日 その05以降つづき公開しました)


 残り (1時間24分 +13分+33分=)2時間10分に続く
        
  一部読んでいただきましてありがとうございました 
  まだまだ続きますが、各面会1時間の記録としておりますので
  一端終わります       文字起こし 文責:佐藤敏宏