2009年8月2〜9日 ことば悦覧in京都 記録集    home 

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 森田一弥さん編   8月05日 Am10〜  晴れ 

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 その06  

佐藤:あそうですか
森田:文化財って、なるべく新しい建具にしないわけですよ。もう使えるものはとにかく使い回すと。

佐藤:どうしようもない処はどうするの
森田:どうしようもない!ところだけやるんですよ
佐藤:どうしようもないところをどうするんですか。腐っていたとするじゃないですか、
森田:その場合はそこだけ入れ換えるとか

 (絵森田さんhpより)

佐藤:材質は
森田:同じ材質で。
佐藤:色が違うじゃないですか
森田:色違う、それでもいいんです

佐藤:構わず放って置くと
森田:うん。ちょっと古色って、色合わせたりはしますけど。とにかく昔のものを そのまま使えるものは使い回すっていうのは文化財の考え方なんで。それを僕は店舗でやっただけなんですよね。

佐藤:じゃ 全くの更地から町家作られたことはあるんですか
森田:ないです、ないです。
佐藤:まだないのね
森田:うん。
佐藤:町家の中に新しい建築をつくるというのはこれからのテーマとして、現れる可能性があるんだよね
森田:そうですね

佐藤:そのときはどうされるんですか、やっぱり古いものかき集めて来て、新しいものをですか
森田:いやしないと思うな。
佐藤:ふふふっふ
森田:はあはあっはは
佐藤:新し素材で、作っていくという

森田:そのプロジェクトに関してはだって、町家を再生した店舗だってのが売りになることは分かってて。それで町家とね、正々堂々と唱うにはどうしたらいいかって考えた末に、僕がそういうことを思った。
佐藤:オーナーの要求に応じて産み出したってことだね。新築では


 材料を 山に採りに行

森田:また別ですよね。うん。これはその次の次の年ぐらいにやったやつで。これはまあ、1階がお店で2階が住居になっているという、この町家のお店なんですけど
佐藤:最初の町家は人が住んでなかった

森田:
住んでないです。店舗町家は基本的に内装は入るテナントがやる、幾つか入るんですよ。テナント八つぐらい入るような町家だったんで。内装はやらずに基本の構造土壁の下地とかは、そこまではちゃんとやった。これは完全に仕上げまでやるという仕事だったんで。もちろん昔通り なおし方でやるんだけど、どうしても新しくなっちゃう部分とか。
佐藤:階段新しいですね

森田:そうですね、階段新しくして。吹き抜けにして。
佐藤:スチール溝付けみたいな風合いですけど
森田:これは塗装でやりました。あと床も土間にして。新しくなる処はもう割り切って新しい素材を使おうと。古い場所はちゃんと昔ながらのやりかたで直そうって。
佐藤:コラージュされているわけだ。
森田:そうですね。
佐藤:新旧コラージュ面白いですね。何か都市みたいですね。遠目でみるとこれが古い家で、ここが新しい家でみたいな。
森田:そうですね

佐藤:たまにはこう鉄骨の真新しいお家が建ってます みたいな。あるもの主義というか、そこに現れたものを活用するっていうのは、こういう手法っていうのはずーっと京都ではあるんですか、伝統的に。

森田:どうなんでしようね。いや、でもね。基本的に こう建築とかインテリアやる人って古いものをちゃんと昔通りに直すことが出来る人って少ないと思います。知らないから。みんな白く塗って、おしまいじゃないですか。僕は古い部分はちゃんと昔通りに直すと。

佐藤:古いものをシツコク勉強しないと出来ないし、建築作るときに色々条件レイアーが有るので、そこをこなしつつ古い勉強してたんでは、ヘトヘトになちゃうんじゃないかな
森田ふふっふそうですよね。
佐藤:やっぱり白く塗ってしまう。ドンドン本物勉強する時間が後回しになっていくというの 感じは分かるんだけど。
森田:そうですよね

佐藤:森田さんの場合は動物になり野を駆け回りカヌーで川を下り、地球を一周して左官屋までやってしまった! だから、元のもともとの学ぶっていうことに対する能力・忍耐力・適応力ってのが、格段に違うじゃないかと話を聞いてて思うんですけど。、そういう伝統知識を鬱陶しく思わないでしょう。

森田:やっぱり大変なんだけど。金銭的な面で言えば設計料だけじゃなくって僕は左官工事も請け負うんで
佐藤:あそうかそうか
森田取り分が大きいわけですよ

佐藤:なるほどね
森田:だからそんだけエネルギーを掛けれる。うん。
佐藤:100%の設計料で分配していってと。ゼネナルマネージャーであり、設計施工のようでもあるし。けっこう面白い在りかたですね、金銭的な全体をもマネージメントする、左官であり時としては設計者になったり。

森田そうそう。全部やっているんですよ
佐藤:多重職能人もいいとこで、多重職人だ。凄いな〜
森田:塗装もやったしここは。壁も自分で塗ったし。
佐藤:そういう事をやると器用貧乏と言われそうだけど これ赤い土なんていうんですか。こういう土が在るんだ実際に

森田:これはね〜山に行くとあるんですよ
佐藤:この土がどこにあるかは みんな秘密の場所なのね。
森田:結構ね、今の京都の文化財やっている人ってみんなそうなんですけども。昔は黄色い土なら、黄色い土。青っぽい土なら青っぽい土採れる山が在って。業者さんが出荷してて流通が有ったんです。だけど今もう無くなって。職人さん達はどうやって、そういうのを今手に入れているかと言うと。工事現場の時に掘り出すじゃないですか。地下の工事とか。それをもらって来て。自分で粉にして壁土として採っているんですよね。
佐藤:左官屋さんは土を見ると銭!!に見えちゃうわけだ
森田そうどこに埋まっているっていうの全部分かっているんですよ
佐藤:そうなんだ。
森田:僕がこの仕事来たときに、「あそこにちょうどここに使える黄色い良い土が有る」って言うんでそこ採りに行って。山の斜面なんですけど。でそれを泥〜泥にして、篩で通して、それを調合して塗っているんですよね

佐藤:なんか、いい感じだね。そういうのってね〜
森田:ふふふふ
佐藤:いいね〜 素朴でゆったりとね、買ってくるんじゃないからね。
森田:買ってくるんじゃないんですよ、山に採りに行くんですよね、材料を。 
佐藤:それいいじゃないですか
森田はははは

佐藤:採りに行くっていいよね
森田え、ふふふ
佐藤:あそこに有ると分かっていて、じーっと待って使える仕事が来たら、そこを掘り起こしに行ったりするっていうね。狩猟採取民のようだし動物的ですよねじーっと獲物を狙うライオンみたいだ
森田:そこに色々積んであるんですよね

佐藤:設計者でありながら、ゼネナルマネージャーでありながら、動物のようにじーっと素材を狙って待っている
森田こういう建具もね、どっかでつぶされるっていうときに、そこにトラックで乗り付けて古い建具下さいて言ってもらってくる
佐藤:なるほど、そういう情報が要!、自分の懐に入って来るお金と直結してるから、真剣でやりがいがあるっていうね
森田:そうです
佐藤:面白いね、職人の方からと 設計者の方から行くから、バランスよくなるわけだよね。あるときは職人でこうやると儲かります!、あるときは設計者の考えで古いものを集め! なかなか美味しい 忙しですね
森田:美味しいっていうか

佐藤:やり過ぎて損しちゃうってあるんじゃないですか
森田ありますよ。随分授業料は払って来たふはあはあはは
佐藤:そうだよね。自分の能力ゼロになってしまうよね。これもまだ別で

コラージュ・ハウス

森田:そうですねこれもまた別のやつで、コラージュハウスっていうので、古い家があって路地の奧に。その手前にこう絵を描く人なんで、アトリエを増築した建物で。

佐藤:敷地現況のカタチに合わせて。ここが古い外壁で
森田:そうです。
佐藤:こっちが新しい鉄骨で
森田:鉄骨で

(絵 森田さんhpより)

佐藤:鉄骨でコラージュハウスね。本当にコラージュしてますね。
森田:そうなんですよ。ここは路地奧で加工しやすいようにっていうので、鉄骨入れてきて。

佐藤:
路地奧だから人間が運ぶしかないんだ
森田:そうそう人間が運ぶしかない 

佐藤:
これはガラスですか

森田:ガラスですね隣が路地になっているので。ここの面がまた別の路地になっていて、ここの面から採光が採れるのでガラしにしているんですよ
佐藤:これがこの部屋だよね
森田:そうです
佐藤:ここがガラスっていうこと、
森田:こっち面が、この反対めんがガラスですね
佐藤:後ろがね、これは断面なんだ こういう断面だと
森田:そうですね

佐藤:コラージュハウスね。
森田:こんときに、木造のこの軸組をフレームに見立てて違う色で塗るっていう
佐藤:なるほど
森田:開発してふふふ
佐藤:本当にコラージュして。ここに来ると急に絵描きさんになっちゃうんだ
森田:そう。

(絵森田さんhpより)

佐藤
:全体の絵のね、全体を抽象的な面と考えて、色を色々配置していると
森田:うん京都の伝統的な世界だと、土壁は木の背景なので。木を目立つように塗るんですよね
佐藤:この建築は壁が主張しちゃっている
森田:そうなんです。木は全部黒く塗っちゃって。
佐藤:左官からの反撃でそうかそう。これは本当は禁じ手だったんだ本来は
森田:そうです。そう

佐藤:禁じ手をやる森田 
森田:大工が上にいたら絶対左官屋は出来ない仕事なんだけど。
佐藤:そうか設計者が左官で自分で仕事するから
森田:ここは、もう左官屋が設計者だからはあははは

佐藤:これ大工が来たら、森田とは二度と仕事しないとか言われちゃう
森田そうですよね、ふふふっふふ。俺の仕事をどうしてくれるっていう。

佐藤:これが一番象徴的な
森田:外壁の
佐藤:これこそが森田ハウス流だみたいだ コラージュだ。色んな素材と新旧素材が入り混じって。

森田:特になんだろう、こういう土壁とかが、古い技術を身近に使えるってのは京都の特色だと思うんで。
佐藤:町割りみたいにも見えるし、町全体の構成が抽象的に表現されているようにも見えるよね。色んなふうに深読みすれば出来そうな感じですね、これは
森田:展開図ですね

佐藤:展開図に色を、禁じ手一杯やったんだ
森田:そうそう。壁に塗った色と、使っている素材の色でこういうになって。
佐藤:これは気分ですか
森田:気分ですね。その場でここは赤

 コンクリート・ボット


佐藤:即興でね、なるほど。いいね〜大陸横断していると気分でいける。これはまたまた、これ急に変わりましたね、
森田:そうですね。
佐藤:これ何ですか?卵の殻に  ぷつぷつ穴開けたみたいなものは

森田:これは、何だろう。
佐藤:発砲スチロール
森田:発砲スチロールを型枠にして、ガラス繊維を入れたモルタルだけで出来たドーム作ったんですよ。
佐藤:これは太郎君だか次郎君だか

森田:これ太郎ですね
佐藤:ね モデルで入ってるね。型を発泡スチロールで作って。
森田:そこにモルタルを塗って、
佐藤:モルタルですか
森田:そうです。白いけどモルタルなんですよ
佐藤:ガラス繊維入っていて重たいんですか、手で運べるぐらいなんですか

森田:手で運べるぐらい。まあ三人ぐらいで運べるモルタルですね
佐藤:これは家具に近い、持って歩けるんだ
森田:そうですね。うん
佐藤:これはどんなイメージなんですか、左官の技術がこういう事も出来るっていう
森田:そうですね
佐藤:アピールするために作った
森田:うん。結局日本の左官技術っていうのは、木のフレームの間を埋める技術でしかないんですよね

佐藤:左官の技術を自立させたわけね。
森田そう
佐藤:これだけで喰っていけるぞと
森田:ははははは、っていうかそれだけで一つの空間になるよっていうことをやりたくって。
佐藤:あんまり知られてない、知らなかったけど。こんなこともやっていたんだ
森田うん
佐藤:職人からと 設計士からと両方から辿ったらこれが出来たと。面白いね。それで半卵で。卵の殻に穴あけちゃって。相当丈夫ですか。

森田:れ上に人が乗れるぐらい丈夫なんですよ
佐藤:あ、本当だ。デモンストレーションで載っている。写真も結構
森田:それはデジカメで普通に撮ったやつですけど。
佐藤:これは何て呼んでいるですか

森田:コンクリート・ボット、ボットって繭って書く
佐藤:繭ね
森田:アイボットのポットです
佐藤:畳みまで敷いてありますよ。

森田:中は畳みが敷いてあるんですよ。
佐藤:覆いのシェル状のものと畳みは別々に運ぶんですか離れているの
森田:これ敷いて上の載せて出来上がり。

佐藤:これはどこか雑誌に載ったんですか
森田:これね凄い雑誌に載って
佐藤:今はこれどこに在るんですか
森田:もう今無いんですよ置くところがなくって 30:02

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