和歌と俳句

万葉集

巻第三

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   大伴坂上郎女祭神歌一首并短歌
久堅之 天原従 生来 神之命  奥山乃 賢木之枝尓 白香付 木綿取付而  齋戸乎 忌穿居 竹玉乎 繁乎貫垂  十六自物 膝折伏 手弱女之 押日取懸  如此谷裳 吾者祈奈牟 君尓不相可聞

ひさかたの 天の原より 生れ来る 神の命の  奥山の 賢木の枝に 白香つけ ゆふとりつけて  齋戸を いはひほりすゑ たかたまを しじにぬきたれ  ししじもの 膝折りふして たわやめの おすひとりかけ  かくだにも あれはこひなむ 君にあはじかも

   反歌
木綿畳 手取持而 如此谷母 吾波乞甞 君尓不相鴨

ゆふたたみ てにとりもちて かくだにも あれはこひなむ きみにあはじかも

   筑紫娘子贈行旅歌一首 娘子字曰兒嶋
思家登 情進莫 風候 好為而伊麻世 荒其路

いへおもふと こころすすむな 風まもり よくしていませ あらしそのみち