花合歓や時よりこまかきものに砂
合歓の梢砂あがき出て花咲かす
花合歓のしめりや指のしめり程
昼顔や我が荷も添ひて友の肩
妻遠し合歓咲き船には艪が二本
麦秋や口につきたる土の味
道行くや昼寝の家へ墓地の風
冬至粥いかなる春の遠からじぞ
吾子達の齢は朝や蝸牛
学荒ぶヒマラヤシーダへ藪からし
青蔦やあまりひしひし妻の加護
老といふ概念もあり薔薇もあり
桐一葉遥か遥かを知人過ぐ
秋風の衝にありてぞ吹かれたる
朝顔煤煙密室とどろダンス館
林檎掻き出し掻きだし尽きし其籾殻
睡蓮や死ならぬもの以て肉浄めよ
杖に縋る左手や右手に種を蒔く
母が家ちかく便意もうれし花茶垣
われに薔薇山羊には崖を与ふべし
食は腹に落ちゆき冬雲厚くなれり
唐辛子男児の傷結ひて放つ
ことのはは終わりぬ聖樹灯りけり
前途永き妻に加護あれ降誕祭