鎌倉は冬暖かに蚯蚓這ひ
我こゝにかくれ終りし大冬木
冬霞して昆陽の池ありとのみ
山廬まだ存す岳麓枯木中
枯木中仏に礼し僧帰る
照り昃りはげしき時雨日和かな
やはらかき餅の如くに冬日かな
荒るるままその儘にして草枯れて
冬海や一隻の舟難航す
カーテンに障子の桟の影くねり
炬燵熱し牡丹開きたる思ひ
幹事席火鉢一つに五六人
毛布にくるまり時化の甲板に
旅鞄しまひ借著の羽織著て
霜除のその勢ひのくくり縄
漁家二軒石蓴の岩を踏みて訪ふ
彼来たり無駄話して日脚伸ぶ