鏡中に煖炉の鋼深く見ゆ
煖炉燃え鴉片の洋燈柿色に
川涸れず深き轍は川に見ゆ
渤海を大き枯野とともに見たり
鞍山の枯野に紅き熔鋼をながす
枯野来て帝王の階をわが登る
枯原に御厩の馬を石としぬ
陵枯れぬ尻尾地につき石馬立つ
陵枯れぬ短き脚の石馬立つ
枯原に鈍の駱駝を石としぬ
陵さむく日月空に照らしあふ
陵さむく日は月よりも低くなる
冬日没る諸仏歓喜を見て立たす
歓喜仏冬の没日は紅玉に
枯れし木と激戦のときの壁立てり
石獣は前脚を折りて枯原に
石獣の背骨隆しも枯原に
凍て土のその土色の獄衣を
獄凍てぬ刑場と書きし壁の門
孤し児の字読むと編むとストーヴに
木々枯れぬあつき泉は野に湧ける
傷兵は黄なるマントを白き衣に
傷兵は冬も白衣に靴穿ける