土筆野や眼にいつまでも面影の
土筆野や誰かわらへる声すなる
土筆野やはらばへば眼に見ゆるもの
色籠の底に穂みゆる土筆かな
春の雲色かはりつつながれけり
突風のふるはせすぎぬ梨の花
突風に人はしらじな梨の花
五瓣づつつぶらつぶらに梨の花
天や白き五瓣の梨の花
梨の花風雨そぼつも一景色
雨風にかくもあはさや梨の花
梨の花窓辺にちるもしかすがに
梨の花ちるとき嫩葉あかねざし
梨の花ちりまぎれつつ初若葉
ちりはてし梨の花柄や初若葉
戸ざすときふと星明し目に朧
まるめすてしほごよりたちし朧かな
囀や盲ひし心の扉にも来て
春暁や土間のひよこの鳴きやみし
春暁の日の来れば露光るなり
雨に来てどうだんつつじ葉ばかりな
行く春や心に置きてたもつもの
囀や庵ほのあけに間ある空
囀や松に日の来てあふぐ空