はるばると足あと見えて海うらら
砂に這ひ砂に起ち海の麗さに
海と空をこころにそぞろ春の道
左右より真芝根を組む春の道
枯蔓の上這ふ蔓や蔦の春
蜂の巣としりてとび居る蝶々かな
日曇るや喉ふるはししやもりかな
庇うつてひろごる春のまぜの雨
春のしけやむかの音の雨の音
光りはじけ緑しそむる木の芽かな
いづこにか眼白声する木の芽かな
降るや雪滴ちりばめ木の芽かな
垣の上に木の芽ふれつつ庭隣
留守番を置きて空家や木の芽時
星見居ればカーテンひきぬ春の嬬
椿とは春咲く蕾真冬より
雨あかり乙女椿へいちさきに
雨ほのぼの乙女椿のつぼみどき
雪かかる乙女椿はまなか濃く
ぬれうるむをとめ椿の蕾見よ
うす紅梅乙女小椿春の雪
真中濃く乙女椿の桃色に
一よさに乙女椿のこれほども