和歌と俳句

薔薇

雨宿りしてしばらくは薔薇の前 青邨

沙翁ここに眠るバラの花真紅 青邨

薔薇の園古き書物を読みふける 青邨

薔薇の園老いける人のたふとしく 青邨

反射炉を守りて薔薇を剪り呉れし 茅舎

渓流に薔薇垣垂るる水車かな 茅舎

番傘の軽さ明るさ薔薇の雨 汀女

廓然と薔薇紅白にちりわかれ 茅舎

薔薇の情われ三十をすでに過ぎ 槐太

薔薇白き夜の獣医たち酔ひしれぬ 槐太

善良に公園の薔薇を見て帰る 風生

ランチ終へ出る霽色に薔薇さけり 蛇笏

やはらかに月光のさす白薔薇 蛇笏

青草の凪蒸す薔薇の花たわわ 蛇笏

さうび咲く薬草園のきつね雨 蛇笏

薔薇浸けし葉のきはやかに甕の水 蛇笏

蟲たえて奥地は薔薇に陽の昇る 蛇笏

悔の糸夜の薔薇と甦へる 友二

紅薔薇に棕櫚蓑を捨ててあり 茅舎

くつきりと真紅のばらに葉かげかな 素十

海兵生薔薇より前に服白し 誓子

むすび喰むベンチの老に薔薇遠し 風生

少女らは薔薇も素通り楽しさう 風生

美しき蜘蛛居る薔薇を剪りにけり 虚子

壕に住む人に一輪のバラを剪る 青邨

惜しや惜し町田に薔薇の散り敷きて 誓子

遠くより見し紅薔薇の辺に来る 誓子