三野連入唐時 春日蔵首老作歌
在根良対馬乃渡渡中尓幣取向而早還許年
三野連、唐に入る時に、春日蔵首老が作る歌
在り嶺よし対馬の渡り海中に幣取り向けて早帰り来ね
山上臣憶良在大唐時 憶本郷作歌
去来子等早日本辺大伴乃御津乃浜松待戀奴良武
山上臣憶良、大唐に在る時に、本郷を憶ひて作る歌
いざ子ども早く日本へ大伴の御津の浜松待ち恋ひぬらむ
慶雲三年丙午 幸于難波宮時
慶雲三年丙午に、難波の宮に幸す時
志貴皇子御作歌
葦邊行鴨之羽我比尓霜零而寒暮夕倭之所念
葦辺行く鴨の羽がひに霜降りて寒き夕は大和し思ほゆ
長皇子御歌
霰打安良礼松原住吉乃弟日娘与見礼常不飽香聞
霰打つ安良礼松原住吉の弟日娘と見れど飽かぬかも