和歌と俳句

万葉集

巻第二

明日香清御原宮御宇天皇代 天渟中原瀛真人天皇諡曰天武天皇

明日香の清御原の宮に天の下知らしめす天皇の代 天渟中原瀛真人天皇、諡して天武天皇といふ。

   天皇贈藤原夫人御歌一首 
吾里尓大雪落有大原乃古尓之郷尓落巻者後

   天皇、藤原夫人に贈ふ御歌一首
我が里に大雪降れり大原の古りにし里に降らまくは後

   藤原夫人奉和歌一首 
吾岡之於可美尓言而令落雪之摧之彼所尓塵家武

   藤原夫人、和へ奉る歌一首 
我が岡のおかみに言ひて降らしめし雪のくだけしそこに散りけむ

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