和歌と俳句

万葉集

巻第二

   大伴宿禰娉巨勢郎女時一首 
大伴宿禰諱曰安麻呂也 難波朝右大臣大紫大伴長徳卿之第六子 平城朝任大納言兼大将軍薨也 
玉葛實不成樹尓波千磐破神曾著常云不成樹別尓

大伴宿禰、巨勢郎女を娉ふ時の歌一首
大伴宿禰、諱を安麻呂といふ。難波の朝の右大臣大紫大伴長徳卿が第六子。 平城の朝に大納言兼大将軍に任けらえて薨ず。 
玉葛実ならぬ木にはちはやぶる神ぞつくといふならぬ木ごとに

   巨勢郎女報贈歌一首 即近江朝大納言巨勢卿之女也 
玉葛花耳開而不成有者誰戀尓有目吾孤悲念乎

巨勢郎女、報へ贈る歌一首。 
玉葛花のみ咲きてならずあるは誰が恋にあらめ我は恋ひ思ふを

 << 戻る | 次へ >>