カナリヤの声がよすぎて氷張る
冬麗や畳鰯の死の模様
寒椿待てば浅草オペラ湧く
奥の手の泣いてばかりやちやんちやんこ
寒鴉身の時計鳴り巣に帰る
菊枯るるいのちあるゆゑ湧く泪
筒袖の母に山から冬がくる
隙間風妻を離してゐたりけり
病む妻の裾に豆撒く四粒ほど
初氷北斗封じて小田寝かす
太陽がまぶしさ嫌ふ雪達磨
霰きて術後の弱き目を荒らす
術後いぢらしや凍む手を筆落つる
湯婆とのわかれはいつや梅蕾む