稲妻の射こんで消えぬ草の中
草庵や隈なく見えて稲光
稲光雲の中なる清水寺
朝顔のつる吹く風もなくて晴れ
朔日や朝顔さいて朝灯
南瓜大きく畑に塞る二つかな
大南瓜これを敲いて遊ばんか
犬蓼の花に水落ち石出たり
犬蓼の花にてらつく石二つ
水引の花が暮るれば灯す庵
水引の花奉れ命婦達
玉階の夜色さみしき芭蕉かな
二百十日の月に揚げたる花火かな
蕎麦はえて二百二十日の細雨
せきれいの波かむりたる野分かな
野分して早や枯色や草の原
出水して雲の流るる大河かな
泥水をかむりて枯れぬ芋畑
秋の夜や帙を脱する二三巻
秋の夜を薬師如来にともしけり
長き夜の物書く音に更けにける
頂上の風に吹かるる尾花かな
軍鶏の胸のほむらや萩が下