燈台の冬ことごとく根なし雲
蒲公英のかたさや海の日も一輪
遠濤と遠岩睦む明るさよ
冬濤の真白き上の水けむり
冬濤や砕けし波の綾載せて
冬濤の最後躍りぬ懸崖へ
冬海や落花のごとく鴎浮く
群鴎空に遅れ冬濤のみぞ来る
青さ寒さ群鴎数を尽すとき
年頭の燈台白しと報げやらむ
燈台や三日月こそは陸の奥
群鴎に暮れ寒星の乱れなく
濤声冴ゆるげに古言の犬吠ゆる
赤き岬鵜の沖岩を冬日護る
冬海は紺岩階を踏みのぼる
断崖裡鵜の海さむき銀となる
霜の威に墓ことごとく蒼ざめぬ
冬濤の濤垣水平線も無し
左右の果冬濤深く陸にあり
一ところ冬日慕うて雲隆み
冬濤幾重階為す九十九里の間
冬浜を一川の紺裁ち裂ける
寒鴉啼きて沖には国もなし
冬濤のひびき破船のしじまのみ
破船ただ冬濤崩れ敷妙に