芭蕉忌や遠く宗祇に遡る
帚あり即ちとつて落葉掃く
母と子の拾ふ手許に銀杏散る
鴨の中一つの鴨を見てゐたり
枯れ果てしものの中なる藤袴
枯萩に添ひ立てば我幽かなり
枯芭蕉棒もたしかけありにけり
彼女いづこにありや焚火の傍に在り
ストーヴの焔のもつれ見てゐたり
古綿子著のみ著のまま鹿島立
上海の霙るる波止場後にせり
霙れゐる苦力みな手をこまねけり
雪の暮茶の時頼に句の常世
噴水の氷柱縺れてからみをり