物の芽に額相寄せうづくまり
茎立や親葉郤け勃然と
茎立や親葉明りに包まれて
蕪一つ畝にころげて茎立てる
虎杖や蕨の束に添へ括り
波底やすかぜば見えて水草生ふ
芹つむや騒ぐ家鴨に眼やりつゝ
春雨や白々けぶる堰の水
柵にひたとよりたる花大枝
島影に吠えたつ小犬畑長閑
はてどなく日々春雪の少しづゝ
菊根分朽葉かた土そづり捨て
坂町の片側塀や花吹雪
抛られし纜うけし柳かな
一本の杭ぜの飛沫猫柳
額の芽や古木にも又根土にも
茎立をつゝみするどき親葉かな
春雨や磯の纜いくまたぎ
纜にせかれし水や汐干潟
やちまたに光る纜汐干潟
畦塗や笠阿呆かむり鍬はしり
老の腰尚も曲げてぞ畦塗れる
畦塗にぬりこめられぬ薊の葉
遅き日や日輪ひそむ竹の奥
涅槃像かけてあとさき壁のきず