啼き立てて暁近き 蛙かな
境内に糞を落して囀れり
柊の一枝ゆるがし囀れり
高らかに鶯啼けり杉林
三椏や皆首垂れて花盛り
道も狭に耕馬の尻やすみれ花
鳶烏闘ひ落ちぬ濃山吹
駒鳳凰山吹曇りつづきけり
余花散るや誰かわづらふ駐在所
蔓かけて共に芽ぐみぬ山桜
軒下に昼風呂焚くや梅の花
本堂に電燈つくや竹の秋
竹林に椿折る人の声すなり
椿折る人の手見ゆる夕かな
草焼いて人やすらへり鴻の台
花人のかへり来る星の真下かな
やまぶきのまださかりなり又来たり
あじささの渡れる空のつばくらめ
山姥の渉りしあとの雪解かな
厄祭り浦々かけて遅櫻
鹿苑寺早春の風わたり行く
春雪に面あぐれば鷹が峯
春早し腰高障子ひしひしと
からし菜に直ぐ積りけり春の雪
からし菜や折りて揃へてかさ高し