天牛のひげの節々旱天へ
旱天や暮れてなほある松の青
守宮みな今年小さき旱かな
旱天に灯を消して寝し間借人
紗の幌の俥中の人や夏帽子
蟇の背を上る蟻あり夕立あと
羽蟻一つ石をのぼりてころげけり
いちさきになく蝉涼し朝の庭
泳ぎ込む蟹の脚見え土用浪
死にしふりして蟹あはれ土用浪