和歌と俳句

筍 たけのこ たかうな 笋

夫婦で筍を掘る夫婦 山頭火

筍を掘るひそかな筍 山頭火

筍も安いといひつつ掘つてゐる 山頭火

青空の筍を掘る 山頭火

けさも掘る音の筍持つてきてくれた 山頭火

まこと雨ふる筍の伸びやう 山頭火 竹の子のたくましさの竹になりつつ 山頭火 みよきによきならんで筍筍 山頭火 なんとよいお日和の筍もらつた 山頭火

竹の子みんな竹にして住んでゐる 山頭火

伸びぬいて筍の青空 山頭火

によこりと筍こまかい雨ふる 山頭火

ひさびさもどれば筍によきによき 山頭火

夕闇の筍ぽきぽきぬいていつたよ 山頭火

窓へ筍伸びきつた 山頭火

寝ころべば筍も生えてゐる 山頭火

竹の子も竹となつた窓の明け暮れ 山頭火

梅雨空へ伸びたいだけ伸びてゐる筍 山頭火

これでをはりのけさの筍をぬく二本 山頭火

ぬくよりむくより筍のお汁が煮えた 山頭火

たかんなの影は竹より濃かりけり 草田男

筍の鋒高し星生る 草田男

けさはじめての筍によつこり 山頭火

山門前の大筍でありにけり 石鼎

土にひく裾に竹の子白く掘る かな女

たかんなの疾迅わが背越す日かな 友二

たかんなや山草しげきかなたにも 蛇笏

筍を掟の如く届けもす 汀女

筍を三つも貰へば重かしり 青邨

竹の子を堀りて山路をあやまたず 久女

筍を掘る音かなし薄明に 知世子