平凡の長寿願はずまむし酒
物言ふも逢ふもいやなり坂若葉
歩みよる人にもの言はず若葉蔭
宮ほとり相逢ふ人も夏装ひ
竹の子を堀りて山路をあやまたず
百合を堀り竹の子を掘る山路かな
ふと醒めて初ほととぎす二三声
魚より百合根がうまし山なれば
彦山の天は晴れたり鯉幟
満開のさつき水面にてるごとし
早苗束投げしところに起直り
雨晴れて忘れな草に仲直り
逢ふもよし逢はぬもをかし若葉雨
日が照れば登る坂道鯉幟
菖蒲ふく軒の高さよ彦山の宿
道をしへ法のみ山をあやまたず
道をしへ一筋道の迷ひなく
何もなし筧の水に冷奴
熟れそめし葉蔭の苺玉のごと
露の葉をかきわけかきわけ苺つみ
朝なつむ苺の露に指染めむ
緑葉にかくさうべしや紅苺
朝日濃し苺は籠に摘みみちて
手づくりの苺食べよと宣す母
初苺喰ませたく思ふ子は遠く