左千夫松山を幾重さきなる天つへに雪まだらなり黒姫の山
左千夫新芽立つ山さの松の枝高みまつめ来鳴くも日のうららかに
左千夫つつじ咲く岡の松原松芽立ちおくの沢辺にきぎすたかなく
左千夫つつじ咲く小松が岡に蕨とり心のどにして君をしぞ思ふ
左千夫一人して心あきたらずつつじ山松芽立つ山きぎす鳴くやま
左千夫黒姫は越のこひしき鯖石の我が思ふ人の郷の上の山
茂吉こがらしのしきりてぞ吹く昼つかた黒姫山にただに対へり
茂吉まぢかくに直にいむかふ黒姫や山は楽しと言はざらめやも
茂吉むらぎもの心しづけし雲はれて入日にかげる黒姫山は