父母のしきりに恋し雉子の声 芭蕉
蛇くふと聞けばおそろし雉の声 芭蕉
人うとし雉子をとがむる犬の声 其角
ゆかしさのあてあてしきや雉子の声 鬼貫
きじ啼て土いろいろの草となる 千代女
萠る隙にきじもこもるや草のはら 千代女
兀山や何にかくれてきじのこゑ 蕪村
むくと起て雉追ふ犬や宝でら 蕪村
きじ啼や草の武蔵の八平氏 蕪村
きじ鳴や坂を下りの駅舎 蕪村
木瓜の陰に皃類ひ住むきぎすかな 蕪村
雉子啼やこゝいなのめの朝日山 蕪村
きじ啼や御里御坊の苣畠 蕪村
遅き日や雉子の下りゐる橋の上 蕪村
柴刈りに砦を出るや雉の声 蕪村
亀山へ通ふ大工やきじの声 蕪村
河内女の宿に居ぬ日やきじの声 蕪村
背のひくき木瓜に身を置雉子哉 召波
人の親のやけ野の雉子うちにける 暁台
山里や馬槽にきじの歩みよる 白雄
ゆたゆたと畝へだて来る雉子かな 太祇
己が音に驚き顔の雉子かな 青蘿
昼比やほろほろ雉の里歩き 一茶
山陰も畠となりてなく雉子 一茶
雉なくや彼梅わかの泪雨 一茶
祠から皃出して鳴きぎす哉 一茶
雉鳴や関八州を一呑に 一茶
夕雉の走り留や鳰の海 一茶
石川をざぶざぶ渡る雉哉 一茶
一星見つけたやうにきじの鳴 一茶
加賀どのの御先をついと雉哉 一茶