聖武天皇御歌
今朝の朝明雁が音寒く聞きしなへ野辺の浅茅ぞ色づきにける
安倍虫麻呂
今朝鳴きて行きし雁が音寒みかもこの野の浅茅色づきにける
基俊
浅茅生にけさおく露のさむけくにかれにし人のなぞや恋しき
千載集 藤原兼実
夕されば小野の浅茅生玉散りて心くだくる風の音かな
千載集 寂連
虫の音は浅茅がもとにうづもれて秋は末葉の色にぞありける
定家
うつろはむまがきのきくはさきそめてまづ色かはるあさぢはらかな
家隆
暮行けば野辺も一つに露満ちて虫の音になる庭の浅茅生
良経
をく露をはらはで見れば浅茅原 玉しく庭となりにけるかな