水引の花のつゆけき門火かな
盆暑しかてゝくはへし大日覆
風すぎるほど風のあり墓詣
七転び八起きかなしき墓参かな
橋いくつこえて来にけむ墓詣で
あさがほのあはれのまはり燈籠かな
遠浮ける雲に日のあり秋の蝉
萩のはや花をつけたる残暑かな
庭下駄を雨ぬらし去る残暑かな
新涼やとり散らしある二三冊
一とむかしふたむかしまへ稲びかり
あさがほやとめればラヂオすぐとまり
水いろと白とばかりやあさがほの
あさがほのむらさき咲けるまことかな
天の星地のあさがほのつぼみかな
あさがほにとほく松風落つるかな
水引のまつはりあへる機嫌かな
お十夜に穂の間にあひし芒かな
海の荒れこゝまでとゞく芒かな
あきかぜの地にみつるとは芒かな
一休みしてもすゝきのながめかな
ふるさとの月のつゆけさ仰ぎけり
縁さきに萩波うてる無月かな
襟もとを気にするくせや秋袷
秋風の羽織律儀に著たりけり