和歌と俳句

西東三鬼

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空港の青き冬日に人あゆむ

滑走路黄なり冬海につきあたり

操縦士犬と枯草駆けまろぶ

冬天を降り来て鉄の椅子にあり

空港の硝子の部屋につめたき手

郵便車かへり空港さぶくなる

ピアノ鳴りあなたに聖なる冬木と日

雪よごれ独逸学園の旗吹かれ

枯原に北風つのり子等は去り

冬草に黒きステツキ挿し憩ふ

冬日地に燻り犬共疾走す

哭く女窓の寒潮縞をなし

園を打つ海の北風に鼻とがる

荒園のましろき犬に見つめらる

冬鴎黒き帽子の上に無く

冬の園女の指を血つたひたり

絶壁に寒き男女の顔ならぶ