原 石鼎
蝸牛に竹に上葉の風雨かな
蝸牛や竹の林の相国寺
蝸牛に日くれしやぶの蟇
蝸牛の竹四五本に落暉かな
蝸牛や小さき庵にやぶ広し
茂りより小さき流れの日暮るる
竹垣を幹はみ出でて茂かな
蝸牛や庵の机に譜本の朱
コレラ人よき衣着てやかれけり
風鈴やコレラの家の軒つづき
コレラの家に松むら立てる夕陽かな
日中や深きより浮く鯰の子
病葉に日ざし深さや苔の奥
病葉にたまれば太し雨雫
病葉や学問に古る白浴衣
二つ買うて夫婦としたり金魚玉
腹鳴りをきかれてさびし蚊帳の中
岬まで浜長々と土用波
浜萩をゆるがせうつや土用波