前大僧正慈円
志賀の浦に いつつのいろの なみたてて あまくだりける いにしへのあと
前大僧正慈円
朝日さす そなたのそらの ひかりこそ やまかげてらす あるじなりけれ
前大僧正慈円
うけとりき うき身なりとも まどはすな みのりのつきの いりがたのそら
前大僧正慈円
わがたのむ 神もやそでを ぬらすらん はかなくおつる 人のなみだに
祝部成仲
かぞふれば やそぢのはるに なりにけり しめのうちなる はなをかざして
土御門内大臣通親
やほよろづ 神のちかひも まことには みよのほとけの めぐみなりけり
参議雅経
かけていのる そのかみやまの やまびとと ひともみあれの もろかづらせり
祝部忠成
しもやたび おけどみどりの さかきばに ゆふしでかけて 世をいのるかな
寂延法師
もみぢばの あけのたまがき いくあきの しぐれのあめに としふりぬらん
賀茂重政
神やまの さかきもまつも しげりつつ ときはかきはの いろぞひさしき
荒木田延成
やへさかき しげきめぐみの かずそへて いやとしのはに きみをいのらん
平泰時
ちはやぶる 神世のつきの さえぬれば みたらしがはも にごらざりけり
卜部兼直
あまつかぜ あめのやへぐも ふきはらへ はやあきらけき 日のみかげ見む
法印慶算
さとかぐら あらしはるかに おとづれて よそのねざめも かみさびにけり
惠慶法師
しもがれや ならのひろはを やひらでに さすとぞいそぐ 神のみやつこ
能因法師
みづがきに くちなしぞめの ころもきて もみぢにまじる ひとやはふりご