和歌と俳句

千載和歌集

内大臣良通
降るままに跡たえぬれば鈴鹿山雪こそ関のとざしなりけれ

天台座主明快
山里の垣根の梅は咲きにけりかばかりこそは春もにほはめ

前大納言実長
かきくらし越路も見えず降る雪にいかでか年の帰りゆくらん

前左衛門督公光
さりともとなげきなげきて過ぐしつる年もこよひに暮れはてにけり

相模
あはれにも暮れゆく年の日数かな帰らんことは夜のまとおもふに

惟宗広言
数ならぬ身にはつもらぬ年ならばけふの暮をもなげかざらまし

源光行
をしめどもはかなく暮れてゆく年のしのぶむかしにかえらましかば

前律師俊宗
ひととせははかなき夢の心地して暮れぬるけふぞおどろかれぬる

民部卿平親範
みやこにて送り迎ふといそぎしを知らでや年のけふは暮れなん