戸袋の守宮が通ふ葡萄かな 喜舟
山葡萄ふくみつ馬を追ひゆける 悌二郎
白秋
照る月に 面ふりむけ わがかざす 葡萄の房の つぶら實の玉
白秋
房ながら まろき葡萄は 仰向きて 月の光に うちかざし食む
山葡萄からめる木々も見慣れつゝ 立子
漕ぎもどる童の舟に山葡萄 青邨
実葡萄に西日当ればほの赤く 立子
鶴すぎしさざ波雲や葡萄吸ふ 水巴
笑はざりしひと日の終り葡萄食ふ 三鬼
葡萄あまししづかに友の死をいかる 三鬼
鳴動す近き浅間や葡萄狩 みどり女
白き粉を浅間ぶどうは刷けるかな かな女
ここに立つ受難キリスト葡萄摘 青邨
アスマンのワインを醸す葡萄摘む 青邨
葡萄摘始まり桶ころがして行く 青邨
葡萄熟れとしよりの日のつどひ見す 林火
マスカット剪るや光りの房減らし 林火
天辺や腋毛ゆたかの葡萄摘み 静塔