金剛の露ひとつぶや石の上
白露の漣立ちぬ日天子
白露が眩ゆき土竜可愛らし
日輪に露に土竜は掌を合せ
露の玉ころがり土竜ひつこんだり
秋暑し榎枯れたる一里塚
新涼や白きてのひらあしのうら
そこはかと茶の間の客や秋の暮
塔頭の鐘まちまちや秋の雨
秋風や薄情にしてホ句つくる
秋風や袂の玉はナフタリン
ちらちらと眼に金神や秋の風
この頃や寝る時月の手水鉢
僧酔うて友の頭撫づる月の縁
和尚また徳利さげくる月の庭
月明し煙うづまく瓦竈
葛飾の月の田圃を終列車
月の道踏み申す師の影法師
釣り人に鼠あらはれ夕月夜
明月や碁盤の如き数珠屋町
白樺の霧にひびける華厳かな
牛乳を呼ぶ夜霧の駅は軽井沢
観世音おはす花野の十字路