海楼の涼しさ終ひの別れかな
瓜積んで朝舟著きぬ流れ山
芥子散るや瓜もむ時の夕風に
瓜食うて我も上るや観音寺
あるべしと期せし牡丹の寝覚かな
天領の境に咲くや桐の花
驟雨来る別れの朝の牡丹かな
船待ちて見る月代や時鳥
端納涼しをれど明日は別れかな
蛍来しあとや蝉飛ぶ端納涼
明日渡る湖の眺めや端納涼
神事近き作り舞台や楠若葉
夕鳥の貝吹く青葉若葉かな
飛乗りの馳を打ち過ぐ若葉かな
剣岩残りて清水無かりけり
清水ある坊の一つや中尊寺
雲高く一片かげる清水かな
卯の花のさかりか雨の紫陽花か
官命に伐る檜山あり雲の峰
我ながら茶勝の縞や更衣
水神と山鬼と夜を明易うせり
帆綱浸る舟の艪ゆれや風薫る
閑古鳥の藤の話もとりどりに
噴火後の温泉に住む家や閑古鳥
浮石の不思議もあるや閑古鳥