和歌と俳句
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わが書架へ午後は冬木の影二本

眼がつねに涙うるみ冬籠

ひときても灯をたよりなるさむさかな

濁る冬日土手に鴉をつどはしむ

河口かなし冬枯の波しろく置き

河原鴉冬枯にゐてつひに鳴く

冬日得てぐみ朱ければ海忘れ

冬雲雀雲居の富士の白妙に

霜柱墓標の白木くもらせぬ

銀杏聳ゆおのが落葉を見下して

枇杷の花夜はそくばくの星かかげ

物書く手あたためくれぬ冬日差

雀見てなぐさむさむき日を籠り

夕日いちめん枯野真中の木も枯れて

雪嶺を庭先にせり兎飼ふ

鶏頭を抜けばくるもの風と雪

花八つ手貧しさおなじなれば安し

寒落暉讃ふるごとく船煙

夜焚火の火中の薪の透きにけり

降るの川の奔流見せず降る

大寒や机に寄りし胸しびれ

雪の傘身を容るるやすきくらさあり

一としきり落葉して木はまた日を浴ぶ

昼酒の唄や枯野へ筒抜けに

風邪の妻遅きわが餉に待しをるも