和歌と俳句

阿波野青畝

旅塵を払ふ

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花芒大雪山を楯となす

金髪の光をたたへ花芒

月はあれど十勝はあまり広きかな

母屋消し離室は虫の灯の明さ

山ぶだう飛瀑を隠すほどならず

白露は色を奪はず鳥甲

星燃えてゐる洞爺湖良夜かな

ヒロシマ忌祈る生きとし生ける身も

香薬師もとに還らず曼珠沙華

神輿挽く美幌の馬も秋祭

田じまひのけぶりの上の西教寺

西教寺道より見しは蘆火とか

吹雪く夜は観世音寺の鐘聞かず

あの寺が常時念佛山眠る

四方の柿つるのこ冬となりにけり

風除もいきづくけはひ海は紺

年籠して小面は美女と思ふ