満月の鳥獣戯画や入りつ出でつ
鳴かねば見えぬもののあるなり百舌鳴けり
犬の子のどこもやはらか野分中
えつ見ねば秋風ばかり筑後川
棄てられし辻神たちの秋の暮
一茶忌の巻かぬ甘藍ばかり見つ
下下の下の鼻のしぐるる一里塚
榠櫨うまくなるすべ知らずでこぼこと
亡き父の持ちし榠櫨ぞ一茶享けよ
真白冬鶏幾百産むと並びをり
主婦二人一人はわかれたき白息
亡き友ら来やすかるべく古火鉢
蜩や硯の奥の青山河
硯の中にちちはは見ゆる合歓の花